ざれごととたわごと

頭から口ではなく、頭から指先を通った文です。

春って、みんなすんなり過ごせているの?

 

冬から春へ季節が変わる頃、今年もまた世界に色がつき始めたと気づく。

毎年季節はちゃんと巡って、毎年ちゃんと同じことを思ってる。

 

秋の紅葉を最後に、山はひらひらぱらぱらと色を落として、空はどんより白っぽい日が増えて。でもイルミネーションとかお正月とか、冬って案外賑やかだから自然界の色が少ないことに気がつかない。

そのまま慌ただしく過ごしていたら、ある日、空が青くて太陽が穏やかに光ってて、緑が緑らしく見えて、花の色が鮮やかに増えていて。

「うわぁ、またやられた」と思う。

 

自然界が着々と準備して今まさに咲き誇ろうとしてる頃、人間界では夢や希望に満ちた新○○が溢れてくる。

イルミネーションだお正月だ2月は日数が少ないだと言い訳してるあいだに、まわりがとっくに変化している。

 

春はいつも切ない。

 

まただ。また置いていかれた、と何も変わらない自分を責めたり抱きしめたり気持ちだけが落ち着かない。

そんなとき、村上春樹カンガルー日和」がふと頭に浮かぶ。

出てくる人が全然焦ってなくて、自分の軸でモノを見ている世界に、憧れるし救われる。

いいよいいよ、これが私の春で。春だから絶対に花を咲かせなくちゃいけない理由なんてない。そうくさくさしているうちにすぐに夏が来るんだから。

 

だけどやっぱりなぜかちょっと切ない。