ざれごととたわごと

頭から口ではなく、頭から指先を通った文です。

私は大人になりたいけど、親には親でいてほしい

子どもから大人になることは、すごく自然で当たり前のことなんだと思っていた。背が伸びるみたいに、学校を卒業して入学するみたいに、ごく自然に、早く大人になりたいと何度も思った。

それなのにいつの間にか大人と言われる年齢になってもまだ、「大人になりたい」と思うことがある。

もう全く背は伸びないし、むしろこれからは縮んでいくんだろうし、卒業する学校も入学する学校もない。

いやもちろん今からだって入学する学校はいくらでもあるんだけど、私が思っていたのはそういうことじゃない。自分の考えと責任でそういうことができる人はもう大人だと思うし。

 

それでも親の元では私はすっかり大人の顔をしている。

親はずっと元気で頼れる不動の存在で、子供の私が主役の会話をいつもしていたと思っていたのに、ある日気づけば、親の健康状態や弱音や愚痴を静かに聞いている私がいる。そう、大人の顔をして、たまにアドバイスなんかしたりして。

いつのまに。

相手の話にうんうんと相槌をうちながら、そんな親の老いや変化を受け入れられないで、内心イライラしたり悲しくなったり落ち着かない気持ちでいる。

私が大人になってもお母さんはずっとお母さんだと思ってた。

お母さんと対等な話ができることは憧れていた大人になったということのはずのに、なぜか悲しい。もう子供のときのように自分のすることに口出ししないでほしい、私は大人よ。でも親には親のまま、あの不動の存在でいてほしかったんだね。

 

人は変わるもの。それは親も当然のこと。

気づいた私は今も思う。

早く大人になりたい。

大人になって、変わっていく親も受け入れていきたい。