ざれごととたわごと

頭から口ではなく、頭から指先を通った文です。

再会

縁がある人とはまた会える、とよく言うけれど、今までそんな縁を感じた再会はなかったと思う。

お世話になった人はたくさんいるし、また会えたらいいなと思ったことは何度もある。

だけど、今はここで別れるけれどいつか必ずあなたに会いたい、なんて強く強く思う人には出会っていないのかもしれない。

だからきっとどこかですれ違っていたとしても、私はその人に気がつかなかったんだろう。

 

縁、きっと待ってるだけじゃだめな気がする。

 

また会いたいと強く思う出会いなら、きっと心が変化するほどの、今までの自分では選ばなかった道や考えに至るきっかけになるほどの衝撃で、そう、コペルニクス的出会い。

そんな出会いならきっと、私は奔走する。あなたに会いに行く努力か、遠くのあなたにも私の名前が届くようにとの努力か、とにかく今までにない行動をするだろう。

それは相手に伝わって、なんとなくことあるごとに思い出す、印象に残る人に私もなるんだろう。

そしてお互いに、心のどこかに相手を残したまま、ある日すれ違う。

 

『あ、あの人…』

 

夢で会えたらって思ってたけど、夢で会えたところでじゃない?

会える人にはちゃんと気持ち伝えたい。

会える時間があるって、すごく大事なこと。

別れが惜しい人と出会えたことは、別れが寂しいと思える人に出会えたことは、出会えて良かった思い出がたくさんあるってことで。

それってとっても素晴らしいことだよね。

 

 

森絵都「出会いなおし」という小説、

春の穏やかな陽と、花粉もちりも喜びも悲しみも吹き荒れる強風の日に、いつかの誰かを思って読むのにおすすめ。